飼育の原点(1)-初めてのペア導入

 現在の2006CBの母親“スジコA”について書く気になりました。その飼育は私自身のニシキハコガメ飼育の原点でもあります。

 残念ながらスジコAは今、存在しません。2007年7月9日、土に帰りました。それは喜びの絶頂から悲しみのどん底に突き落とされた、到底忘れることのできない壮絶な体験でした。

 あれから丸2年経ち、また暑い夏が巡ってきています。最近自分の中で起きている小さな変化に気づいています。ついこの前まではいつも思いに上る壮絶な体験だったはずのものが、最近は自分の中で、ずっと以前の出来事ようになっているのです。自分の中でついに一区切りがつき、解放されたという意味でしょうか。もしかしたら、今年再び仔を得た経験が癒しとなり、またスジコAのこどもちが順調に成長しているのを感じ、そうさせているのかもしれません。

 さらに、ニシキハコガメの飼育開始となると、その体験からさかのぼること数年、当時を思い出すのにも時間がかかるようになりました。それで、記憶がまだ鮮明に残っているうちに文章の形で残しておきたいとの思いもあり、このカテゴリーで書くことにしました。また、そこに書いたものが、何がしか今飼育している方々のお役に立つことも望みながら…。






 時は2003年12月末、今も営業している関西のとあるショップから、我が家にカメのペアがやってきました。それはそれは清水の舞台から飛び降りると形容できるほどの高額な買い物でした。そう、ニシキハコガメのペアです。しかもそれまでアメリカハコガメの飼育経験はゼロ。おまけに画像で判断しなければならない通販。そして真冬。とても勇気のある、いやむしろ実情は無謀な飼育の始まりでした。またある意味では、将来の喜びの始まりでもあり、その後のさらなる悲嘆の始まりでもありました。

 来た当日は餌も食い、まあ元気が良かったのですが、翌日から見る見る間に“電池が切れるかのように”不活発に。あとで聞いたのですが、何か動物医療上の処置を施して、活性を上げてから発送しているのでこうなる、とのことでした。そういえばこの処置に関しては、そのショップのホームページ上でも一時公開しておられましたので、よかれと思ってなさっているんでしょう。

 特に♂の状況は深刻でした。体重も軽め、確か250g前後だったように記憶しています。戸惑う私は、今はこの世界で名をとどろかせている方々を頼みの綱とし、直接また間接的にアドバイスをいただきました。しかし、その甲斐なく2004年3月に死亡してしまいました。最後は200g近くまで落ちていたと記憶しています。“飼育”いや“看病”期間は約2カ月でした。こうして、大金をはたいて始めた飼育の最初からつまずいてしまいました。積極的な見方をすれば、この間にいろいろなスキルや心構えを学ぶこともできたとも言えるかもしれません。

 購入時は数ペアの中から雌雄を自由に組み合わせて選ぶことができたのですが、自分が選んだ♂個体はこれ(到着時の画像)。愚かなことですが模様優先で選んでしまったのかもしれません。こうやって改めて見ると、今なら絶対に手を出さなかったでしょう。こんな個体をショップはなぜ販売するのかという思いもありますが、自分の目利きのなさにも腹が立ちます。
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 一方♀の状態も似たような経過をたどります。ただ♂と違うのは、体重が重めで、土に潜って出てこないところ。心配して悶々とする日々を送りつつあれこれ試しつくした後、“寝たがっているだけなのでは?”とのアドバイスをいただきました。飼育技術の云々も今より少ない時代、この一言のおかげで自分を落ち着かせ、現状を静観する方向へと飼育方針を切り替えることができました。

 飼育し始めて1カ月ほど経った2004年1月下旬の画像。模様よし肉付きよしですが、眠そうな眼です。
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 するとどうでしょう、静観しはじめて1、2ヶ月ほど経ったある時、土から這い出してきました。そしてそれから少しずつ餌を食べ始め、次第に活発さを取り戻していったのです。“もう眠いんだから起こさないでちょーだい”というサインに気付かなかっただけのようです。

 このように「立ち上げ」から始まった飼育は、その最初から苦難に見舞われその後も苦難の連続でした。それでもこの種の飼育をやめずに続けてこれたのはどうしてでしょう。


 自分が学んだこと(あくまでも個人的見解です); (甲長11cm前後の)成体のニシキハコガメを購入する場合、肉付きを目で確認し、「体重」を必ず尋ねること。甲長の割に体重が軽すぎる個体は購入しないのが無難です。(今はほとんどないかもしれませんが)「立ち上げ」が必要な場合、体重がどんどん落ちることがあり、軽い個体の場合すぐ危険レベルになってそのまま…ってことになりがちです。当時自分が設定した基準は300g以上、今は甲長との兼ね合いによりますが250gはあって欲しいです。最近成体を見る機会がめっきり減りました。それでも時折見る成体は立ち上げが必要でない飼い込まれた個体がほとんどのようです。うん、「立ち上げ」はとても大変です。体重がないともっと大変。そして言うまでもないことですが、国内繁殖個体の方がはるかに飼育が楽です。

 さて、やもめになってしまったニシキハコガメの♀。この後お婿さんを迎えることになるのでしょうか?


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