平成24年度 動物取扱責任者研修会

 平成24年度の動物取扱責任者研修会を受けてきました。

 今までは熊本市が開催するものに参加していたのですが、今回は本業の都合で昼間にある熊本県の開催するものに参加してきました。場所は宇城市。


3部構成
① 多頭飼育・繁殖するに当たって-環境・衛生面から注意点-
② 子犬の社会化としつけ(家庭犬の幸せな生涯のために)
犬のしつけ教室・幼稚園 Positive Wind
③ 動物の愛護及び管理に関する法律等の改正について



対象者年齢層
 若い方も幾人かいらっしゃったが、田舎の50,60代のおじさんおばさんが多い感じ。




 まず、研修会の責任者(司会者)と思しき方の話し方が、聴衆のレベルに合わせた、上手な言い方だったので感心しました。

●「宇城、御船管内では動物取扱業の問題が起きていない。でも動物取扱業に関する記事が出るとヒヤヒヤする。今日の研修会は商売っけがないが、商売の実力をさらにつけるためのものだと思って最後まで受講してほしい。途中商売の電話がなるかもしれないが、できるだけマナーモードでお願いしたい。」

途中で。
●「イヌネコ中心の話で、鳥とかの販売の方は(爬虫類ってやはり出てこないのね)関係がないと思われるかもしれないが、役立つ点をくみ取って欲しい。」

 最後の方で、会場内の私語が増えてきたのを注意したのも、珍しく思いました。それに対して素直に謝るおじさんたちもスゴイ。まあ私語が出るのには理由があったんですけどね。




 もちろんすべてイヌネコの話です。爬虫類なんて誰も触れません。それでも特に2部の「子犬の社会化」の話が最も興味深いと思いました。子どもの成長という点で本業とも少し関係している部分もありましたし。

 《要旨》
●出生56日を経過しない犬猫の販売や引渡し、展示をしてはならないという動愛法条文がある。
●出生56日(8週齢)には科学的根拠はない。
●だが、子犬の成長過程を調べると、3~12(16)週齢が「社会化期」と呼ばれる大切な時期である。
●社会化とは、生まれてきた個体がその種特有の社会行動パターンを身につけていく過程で、その犬の将来の幸せを左右する重要な時期。
●例えていうなら、社会化とは心の窓・扉を開くこと。それは最初閉じているが、少しずつ開いてきて大きく開き、やがて狭くなる。
●この時期に母犬や兄弟犬から離された子犬は、社会化がうまく進まず、甘噛みが激しくなったり、他の犬とうまく付き合えなかったり、臆病で神経質な性質になりやすい。
●体の離乳と心の離乳は違う。
●幼い時期からの関わり方次第で、家庭犬としての幸せな生涯を送ることができるかどうかが決まる。

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 ヒトやラットとの比較などもあってとてもとても興味深いものでした。



 ただ、ただですよ、講師の先生がものすごく早口なんです。多くのことを学んでもらいたいという善意なんでしょう。でも聴衆を見回すと、嫌な予感が・・・。
 原稿もあまり見ずにお話になるのでとても頭の切れる方だと思います。ただ、カタカナ用語が頻出し、なんだか大学の講義みたいと最初から思いました。それがアマラとカマラの話が出てきたあかつきには、ああやっぱり!と確信し、昔教育学部で聴いた講義を思い出しました。
 この研修会の聴衆は田舎のおじさんおばさんが多いんですよ。話す速さといい話の内容といい、まったく聴衆のレベルが考慮されていませんでした。

 そんなふうなので、一番話したい要点の前の段階で、↓こんなのが出てくるんですから、聴衆の思いはもうどこかにさまよっています。それが肌で感じられるんです。
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 私も一つ一つはよく分かりません。補強する証拠をあげて納得させられる論理的な話として構成されているとというのは分かります。本当に何十年かぶりに聴く大学の講義みたい。時間も90分かそれ以上あったかもしれません。

 それで、話の最後の方で、会場がそわそわとなって私語をし始めた。いつもなら怒りを覚える私ですが、今回ばかりは、その気持ち、わかります。今までよく頑張ったよ。天晴!その私語を司会者がたしなめると、たしなめられたおじさんたちは、素直にすみませんと謝った。かわいかったよ。昔のハナタレ坊主が先生に怒られたみたいで。




 今まで熊本市の研修会は少し早く終わっていましたが、今回は予定時間を少し越えて終わりました。休み時間は一部と二部の間の10分程度のみ。



 でも、ほんとうに内容には惹きつけられました。ただ提供の仕方がね、聴衆のレベルをはるかに超えた大学レベルでした。それはそれで面白いんだけど。






 私たちにとって一番大切な法改正についての説明はかなり急ぎ足でした。聴衆のなかに蔓延する一部殺気立った空気を、話し手の方も感じ取られたんでしょう。法改正についてはまだ本決まりではないので、正確なところははっきりと言えないようです。でもその流れは以下の通り。

※なお以下の〔 〕は筆者の注釈。

● 購入者に対し、現物確認と対面説明をすることの義務化。対面販売の例外は認めない。動物(哺乳類、鳥類、〔爬虫類〕)の販売を行う者に義務づける。

● 犬猫〔等〕販売業を営む者に以下を義務づける。
 (ア)「犬猫〔等〕健康安全計画」の提出。
 (イ)犬猫の所有状況について、個体ごとの帳簿記載と定期的な報告(1年に1回)。
 (ウ)犬猫の生後56日以内の繁殖業者からの引渡しや展示の禁止。
 (エ)獣医師等との適切な連携を図ること。

 通販禁止ってのは流れとして止められないようです。
 一方二番目の点は、「犬猫」と「犬猫等」の違いが気になりました。法律ってのは、この「等」一文字の有無で、爬虫類が含まれるかそうでないかが大きく変わると思うのです。爬虫類販売者も「犬猫等健康安全計画」を提出するのかしないのか、個体ごとの帳簿記載と報告は犬猫のみに限定されるのかどうか。これも通販禁止と比べたら事務が増えるだけでどうってことないのでしょうが。
 来年度以降、地方のブリーダーは、九レプとかぶりくらなどに出展するしかなくなるんでしょうね。出展者が大幅に増えたりして。(注:厳密にいえば、他所からの情報では、販売業者同士の仕入れなどのやり取りは現物確認でなくてもいいとありますけど)。そういう意味では、今年度初のぶりくら出展、いい経験になりました。

コメント

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この内容は、かなり高度ですね。

特に、脳内ストレスの記憶の回路の説明ですかね。
脳内のセロトニンが、海馬(長期記憶回路に関係しているとさ
れる部位)、篇桃体(情動回路に関係しているとされる部
位)に影響与え、一度受けた不安や恐れが同じ体験をした時に
記憶として出現するという内容の説明なのでしょうが、これを
生理学の基礎知識のない人に教えようとする人もすごいし、
それを黙って聴いていた人も賞賛に値しますね。

分かりやすい話なら、鐘がなたっらご飯をもらえるという条件
付けをし、鐘がなったら餌が無くてもよだれをたらすパブロフ
の犬の原理あたりで十分だったでしょうね。


私は、金が入ったらかめを買うという条件付けと、カメを買っ
た後に女房の口調の変化でセロトニン回路に溜め込まれた恐
怖が走るという経験は何度もしましたが、懲りずに続けるとい
うことは、海馬に恐怖の体験の刷り込みと、買う前に篇桃体で不安が起こるということを学習の回路ができていないんでしょうね。

しかし、アマラ、ガマラまで出てくるとは、講義内容が容易に推測され、内容も多岐に渡り難しかったことでしょうね。

ご苦労様でした^^。

Re:

さすが、かかしさん、お仕事柄お詳しいようで。
ねっ、講義内容推測できるでしょう。

ただ何度も言いますが、話自体は興味深く、新たな知的な刺激となりました。
知的好奇心満足!

ただ脳内ストレスのところは、聞いたことのあるカタカナ語ではあったのですが、よく分かりません。ふんふんそうなのね、と流すしかありませんでした。
この次に来るのが社会化の話で、メインのところだと思うのですが、そこにたどり着く前に聴衆の大多数は撃沈。かなり惜しい講義でした。

ご自分にストレス記憶の云々を適用なさるとは(笑)。

苦しかったけど、何か楽しかったですよ。