特別なたった一つの卵

 この小さな卵は、私にとって特別なたった一つの卵。

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 カブトニオイガメの卵です。

 これを産んだメス親はうちのCB。甲ずれの個体で、幼体の時に友人のところにもらわれていきました。それがそのお宅で成長し、無精卵を何度も産むようになったので、交配させるために里帰り。環境が変わったためか昨年は産まず、今年初抱卵しました。

 ただ、池に入れておくと、相性のいいペア以外の個体はメスでも攻撃を受けるのか、怯えてしまって陸地に上がっていることが多くなったため隔離。暖かくなってから現在まで、3頭のメスのうち2頭を隔離していました。

(※ ニオイガメ系はそこのところが大変で、しかも噛む力が半端ないので、これまで何度も飼育を続けるかどうか迷いました。でも、カブトニオイガメに関しては、初期のころに自家繁殖させた種なので、ずっと飼育し続けています。個人的な意見ですが、カブトニオイよりスジクビの方が強烈執拗。スジクビは、強いメスが他のメスを攻撃しているのを過去に確認)



 でもその里帰り個体が抱卵したまま体調を崩して急死してしまったのです。



 それなのになぜ卵があるかって?



 それは・・・

 取り出したのです。

 このまま葬れば、お腹に抱えた卵もいっしょに土に帰るでしょう。でももしかしたら有精卵かもしれません。

 朝食をとりながら悩みましたが、意を決して取り出すことにしました。まだ硬直していませんでしたので、やるなら今しかない、と。


 いざ始めると意外と落ち着いたものでした。もはや動かないというのは気が楽です。耳の膿腫を処置するのより、心の抵抗が少ない気がします。実際に食料となる動物を解体したことはありませんが、似た感覚なのかもしれないと思いました。
 それでもまだみずみずしく今にも動き出しそうな感じがしました。体の仕組みがよくできていることに感心しながら、何時間か前までは生きていたであろう生命に対する畏敬の念をもって、丁寧に進めます。

 ただ、私にとって初めての経験なので、途中で1個割ってしまいました。背甲と腹甲の狭い隙間から取り出すのがかなり難しいのです。でも卵は全部で2個、もう1個あります。何としてもこれだけは傷をつけずに取り出さねばなりません。やり方をひと工夫して、やっと取り出すことができました。

 隙間から見える空間には、大小の黄色い花のような塊がありました。卵殻がまだできていない卵だろうと思います。・・・ごめんね。







 取り出した卵はクールインキュベーターで管理します。白濁するかどうかはまったくわかりません。




 でも、数日後画像のようになりました。

 報われた瞬間です。





 現在メスにすべく保温しています。



 せめて無事に孵りますように。





Razor-backed musk turtle (Sternotherus carinatus)

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