トゥルカナ湖の不透明な未来

 今月号のナショナルジオグラフィック誌に、興味深い記事が載っています。


 「トゥルカナ湖の不透明な未来」

 もともとケニア南部(首都であるナイロビもそこにある)の人々にとって、北部のトゥルカナ湖とそこに住む人々のことは、ほとんどよその国の話である。電気は通らず、高校もなく、定期的な交通手段も整備されていない。トゥルカナ湖は無にも等しい存在らしい。そこで、今起きていること。

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 ケニア北部で、先住部族の人々の生活を支えてきた巨大なトゥルカナ湖。だが、上流のエチオピア国内で進む大規模開発で、その存在が脅かされている。

 ケニアを貫く大地溝帯に位置するトゥルカナ湖は、淡水と養分の90%をオモ川から得ている。しかし上流のエチオピアでは、アフリカ最大級のギルゲル・ギベ第3ダムが完成し、サトウキビや綿花の栽培を目的に大規模な灌漑計画も進んでいる。ダムの取水によって湖に流れ込む淡水の量が減れば、湖水の塩分濃度が上昇し、9万人の生活が脅かされることになる。

 専門家たちは、湖がアラル海のように取り返しのつかない状態になることを恐れている。カザフスタンとウズベキスタンにまたがるアラル海は、かつて世界第4位の大きさの内陸湖として豊かな水をたたえていた。ところがソ連時代に始まった灌漑計画で、アラル海に注ぐ2本の川の水は綿花栽培に吸い取られていった。水源を失ったアラル海は縮小が止まらず、2007年には大部分が乾いた荒れ地と化した。

 トゥルカナ湖にも同じ運命が待っているのかもしれない。サトウキビと綿花の栽培がさらに拡大すれば、やがてはオモ川の水量も減っていき、湖の水位は18メートル以上も下がると水工学者のショーン・エイブリーは予測する。そうなれば多くの漁民が生活の手段を失い、難民になってしまう。

ナショナルジオグラフィック誌日本版2015年8月号より画像共々引用



 トゥルカナ湖で最大の生物だったのはカバ。でもそれは捕り尽くされて、今はいないようです。しかしナイルワニはまだたくさん生息しています。

 そして、この記事には触れられていませんが、カメ飼育者にとっては、トゥルカナハコヨコクビガメがこの湖の固有種として生息していることは有名な話。分布が非常に限定的で、生息数が少ない種と考えられています。クリーパー34号(38-39頁)によると、湖の南東岸の狭い地域にのみ生息するとされていますが、北岸側にも生息するという情報もあるようです。

  ・分布域がきわめて狭く、IUCNのレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類とされている
  ・カメ類の輸出が厳重に規制されているケニアで、ランクの高い保護動物とされている
  ・2006年秋の日本での流通が世界初の流通

クリーパーでは、「生息地の保全が保護のために重要と思われる」と書かれています。



 しかし、その生息地の状況が悪化の一途をたどっています。最大水深73m、平均水深30mのこの湖、どうなってしまうのでしょうか。

 トゥルカナハコヨコクビガメにとっても不透明な未来かもしれません。私も飼育している、遠い異国産の青い目のカメの未来を思わずにはいられませんでした。






Turkana mud turtle (Pelusios broadleyi)

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