手術で取り出した卵の内部では

 手術からちょうど十日経ちました。手術で取り出したニシキハコガメの卵は胚が発生していました。
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 一方、親のスジコBはジャイアントミルワームやデュビアをよく食べるようになりました。

スジコB、順調に回復中

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 元に戻した腹甲板の境目から少し血がにじんできているようですが、ニシキハコガメ・スジコBは順調に回復しているように見えます。挽き肉以外に、この前はミミズを、今日は初めてデュビアを自分から食べました。



 そんな中、別の個体、スジコDに変化がありました。抱卵しています。後足の付け根から触ってみると、お腹の中にはスジコB以上にパンパンに卵が入っているように感じ取れます。それが8月12日に穴掘りをしていました。
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 しかし、しかしです・・・産卵に至りませんでした。これがキボシさんがいう“産む産む詐欺”(非常に当を得ているネーミングだと思います)でしょうが、その後は一向に穴掘りもせず、産卵の気配が消えてしまいました。餌食いは良く、昆虫などをまだガンガン食べています。
 スジコBの件があったばかりなので、“スジコD、お前もか!”という不安とそのうち産むんじゃ?という楽観的にならせようとする気持ちが自分の中で闘っています。今年は心臓に非常に悪い夏です。

手術は成功しました!

 「手術は成功しました!」、この先生の言葉に驚きを隠せませんでした。8月6日夜9時前、熊本市東部、熊本県で唯一爬虫類を診る動物病院の診察室の中、ここでニシキハコガメ・スジコBの生きている姿を再び見られるとは思っていませんでした。手術前に入れてきた段ボール箱の中で、数時間前に手術をしたとは思えないほど活発に動き回るスジコB。何事もなかったかのように箱をよじ登ろうとする、驚きの光景が広がっていました。
 数年前、スジコAの時には、綺麗な箱に花と共に入れられて、もはや決して動くことのない姿で連れ帰ってきました。その印象が非常に強く、今回も動かないスジコBを連れ帰ることを勝手に覚悟していたので、生きている姿を見たときには言葉が出ませんでした。
 そしてお腹にあった卵、1個は残念ながら割れてしまいましたが、2個は無事に回収していただきました。前もって渡していたタッパーの中で、ミズゴケに優しく包まれて戻ってきました。

 あんなに大掛かりな手術を受けたのに、その日には退院、というのも信じられません。

 それにしても感動したのは、先生とスタッフの皆さんの働きぶり。朝8時半に私がスジコBを病院に持って行ったことから患者への対応が始まり、午前中通常の診療を行い、早い午後の時間にはスジコBの2時間半に及ぶ手術、その後午後の診療が長く続いて、最後に9時前に私への結果報告で、患者対応を終えていらっしゃると思います。たぶん相当お疲れだったと思うのですが、笑顔を絶やさないその姿勢に感動しました。今回の手術は寛大な先生のおかげで成功裏に終わり、本当に感謝しています。


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 翌8月7日には白濁が始まりました。右の卵は先月スジコCが産んだ卵です。スジコCの卵も、初めて産んだ頃よりは少しずつ大きくなってきましたが、やはりスジコBの卵は大きいです。そして今回はっきり分かったこと、それは腹腔から人為的に取り出した卵でもきちんと発生するということ。それにしても体内にある時は発生しないのに、体外に出た途端発生するのは何故?酸素または二酸化炭素濃度が関係しているんでしょうか?謎です。

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 手術後、飲水はするものの全く餌を食べなかったスジコB。手術から4日経った8月10日、やっとサプリメント添加の挽き肉を食べてくれました。


 今回の手術の成功で、すべてがハッピーエンドになるかといえば実はそうではありません
 生物の繁殖しようという植え込まれた無意識の意志は非常に強く、人為的に止めることは、生殖器官を取り除かない限りできないようです。先生がおっしゃったことなのですが、スジコBにはすでに次期卵の予備軍が続々控えていたとのことです。これが何を意味するかお分かりでしょうか?すでに切ったり縫ったりしていますので、次回もう一度卵詰まりを起こす可能性が高いということです。2度目の開腹手術・・・物理的に難しいと思われます。
 卵の成長を止める薬は?世の中の必要上、動物医薬界では、産ませる薬はあっても、産むのをやめさせる薬はなかなか開発されない方向にあるようです。まして爬虫類では…。
 今回仮に、今後繁殖できないように人為的に処置しようと思ったとしても、その生殖器官は体内の奥深くにあり、処置がかなり難しいようです。

 これらの諸要素を考えると、今回の手術の成功は一時的なものであり、将来にはまた大きな問題が横たわっていることが分かります。それを考えると気持ちが滅入ってしまいそうです。またそれに備えて今後自分にできることは限られているように思います。すべては自然任せ。
 そうならば、今この良い結果を大いに喜びましょう。そしてできるだけのケアをしてやりましょう。それしかできないもんね。



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